月刊歌の手帖などを発行しているマガジンランドの野上政幸さんより、
今回主催していただいた小田純平”投げ銭ライブ”のNOW
「小田純平 “投げ銭ライブ”で自身の原点を再現 」

 コンサートホールはもちろん、さまざまな現場で取材をしてきた私ですが、 小田純平さんが10月10日、神奈川県横須賀市のカラオケルーム「office RIE」で行ったライブは、 私の数十年にわたる記者人生のなかでも極めて特殊なものでした。



 なにゆえに特殊であったのかは、そのライブが入場料を定めていなかったからです。もちろん無料ではありません。来場者は入口に用意された箱に、思い思いの金額の金銭を入れて入場するという仕組みです。千円札を数枚入れる人、または1万円札と小銭を入れる人など、その金額はさまざまです。さらに金銭だけではないのが、このライブが特殊であったもう一つの理由です。金銭が投じられた箱の隣には、白菜やキュウリ、米、リンゴ、みかん、さかな、酒などの野菜や海産物、食品類が置かれ、これが入場料として通用したのです。



 小田純平さんはこれまでのライブで度々、自分が幼かった頃のことをこう話していました。
「僕は鹿児島県の旅芸人の家庭に生まれ、3歳の時から舞台に立って、演歌好きの父親から教えられた『九段の母』をわけも分からず唄っていました。唄い終わると、たくさんのお捻りや品物が舞台に置かれ、僕にとっては、当時はまだ高級品だったバナナがなによりのご褒美でした」

 そう、小田さんは子供の頃に体験した舞台を、数十年の歳月を経て再現したのです。

 これがいわゆる“投げ銭ライブ”です。



 小田さんは、入場料を定めていないという理由で、ライブの時間を通常のライブよりも短縮したりはしません。いつものように歌をたっぷり聴かせ、楽しいトークもそのままです。アンコールでは、トイレに立ったお客さんが戻って来るまで、予定にはなかった曲まで唄うというサービスぶりでした。そんな小田さんに感動して、観客は公演中にちり紙に包まれた小銭を、舞台前に用意されたギターケースの中に放り込ます。これぞ“投げ銭ライブ”たる所以の光景です。


 ギター1本を背負い日本全国をライブ行脚する"小田純平"、“投げ銭ライブ”は、小田純平にとって一番小田純平らしいライブに違いないのです。

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